辻はな 喜代人

鎌倉レースドール教室
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ヒ−ラ−の森


大学の卒業式を終えた青年は、希望に胸を膨らませました。夕方からの卒業パーティーは盛大で青年も仲間と最後の時を楽しみました。


論文がとても大変だった事。氷河期といわれた就職活動。女の子の事。会話ははずんだ。


工学部の学生は卒業後、主にエンジニアとして歩むもの。風変わりだった青年には少し変わった未来が待っていました。

夕暮れはホロ酔い。青年もいい感じでした。進路については何度も聞かれた。

「お前なにやるの?」

「俺は北杜へ行く。山梨の。」

「どんな会社なんだい?」

「まあ最先端の農業ってとこかな!」

「お前建築科だろ?」

「人生いろいろさ」

僕らは笑った。


学生生活は過ぎ、青年はいよいよ出発の日を迎えました。自分の土地へ!

電車とバスを乗り継いで3時間。その土地へは2年前から時々通い、草花と接したり野菜も育てていた。自由に使う事を許され、この春からは登記上本当に自分のものになったのだ。


青年は心から歓びました。それにみなぎるものを感じていました。

電車の中で開く本は星や植物に関するもの。星がとても好きだったし植物にも興味を持ち始めていました。何しろあの土地で生きて行く。その気持ちがとても強かった。


実際、土いじりは清々しく気持ち良かった。失敗ばかりだったけど青年は土にも植物にも全ての愛情で接した。その愛がそのまま自分にも向けられている事を少しずつ感じ始めていました。


大学4年の夏にはあの花畑に親友を初めて招待出来た。近くで汲んだ湧き水にスグリの実。カモミールの花をおいて。

二人は語りました。この場所で!

好きな建築家や建造物。夢のプランや資金作りに至るまで。青年は自分の事も話しました。

就職はしないという事。ここで生涯を生きるという事を。友は静かに聞き、少し笑っている気もした。

「人と違う道を歩むのは大変な事だと思うよ。でもいつかお前を誇りに出来る気がする。お互い頑張ろう!」

青年は頷きました。


バス停まで友を送った。3時間の道のり。時間の許す限り多くを話した。

それは農地法について、また太陰暦と種との関係にまで及んでいた。




           ヒ−ラーの森 つづく






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遅れて咲く桜


ソメイヨシノは美しかった


それに遅れるように咲く桜

僅かな時間だったけど

来れて良かった


私はリュックをおいた

カメラは忘れた

フリージアも香って


花の色 風の音

草花の歌を楽しんだ

眠くなってしまった


僅かな時間だったけど

来れて良かった


遅れて咲く桜



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ムラサキもようのアネモネ

あの時種は、手からこぼれ落ちたのでしょう。

ほんの少しの場所で、春を楽しむアネモネに心

奪われました。

 

何日か続いた陽気に植物は歓喜し、そして一気

に芽吹いた。

 

アネモネの隣で歌うチューリップ。ムスカリや

ハーブ達。心から春へ輝いて❗

ありがとう。

嬉しくなってしまいました。

 

ムラサキもようのアネモネ

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恩師 恭子先生

 

平成31年2月11日。柴田恭子先生はお亡くなりになりました。 

 

お別れの日。先生はとても穏やかな表情をされておられました。空は青く広がり、春を漂わせておりました。

 

もうすぐ梅が咲きますね。トネリコも茂ってきます。バラも誇らしげに香る事と思います。

いたる所に先生はいらっしゃいます。

 

何度も何度も助けてくれて有難うございました。

 

先生は、人に力を与えまた多くの人を癒されました。

 

先生の烈しい美への希求、先生の煌き。決して忘れません。

 

今日、この日が初めて先生やお人形達に出会った日と重なります。ここまで連れて来て頂きました。感謝します。

 

天国でゆっくり休まれて下さい。

そしていつまでも煌いて下さい。

 

先生とお人形に出会えて本当に良かったです。

 

感謝します。

 

 

 

                辻鼻 喜代人

 

 

 

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カーネギーホール

ある少年の話を思い出していました。

少年は、深々と礼をした。

興奮のあまり、眠れなかった夜の 次の日の話


そこには、母の手を強く引く子供と、そこに必死で

付いていく親子の姿がありました。

やっと工面した交通費 初めて乗った飛行機!

ニューヨークの空へ


カーネギーホールは、どうやって行けばいいですか?


片言の英語が理解できず、老人は、練習、練習、

そして、練習!それしかないのだよ。

そう言ってしまった事を後悔していました。

少年の頭にそっと手をのせてしまった事も。


少年は、深々と礼をした。


あの日の少年は、今頃、どこを歩いているのだろう?


その日の演奏は、彼の人生を十分に支え続けました。

タクトを振り続けるのです。

どんな事があろうとも 振り続けるのです。

この苦しい世の中を生き、それでも人を愛し、癒し、

それが人々の力をなると信じて


少年は、大人となり、指揮者となりました。

あの場所で、3度も耳にした単語が練習だと

はその時はまだ知りませんでした。


私は今 ここに居ます。 この場所へ指揮者と

して、返って参りました。

興奮のあまり、眠れなかった夜、

初めて乗った飛行機


母と歩いた道

ニューヨークの空  

これから、カーネギーホールへ向かいます

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